原状回復工事との比較

原状回復工事もリノベーション工事も行ったことがないと、この2つの違いは分かりにくいです。

簡単にいうと、原状回復工事は「入居前の状態に戻す」ことで、リノベーションは「入居前よりグレードアップする」ということです。

この2つの違いや、どんな時にリノベーションを選択するか事例をもって解説していきます。

原状回復とリノベーションの工事内容の違い

まず、原状回復とリノベーションの工事内容の違いを解説します。この違いを見てもらえれば、「入居前に戻す」原状回復と、「入居前よりグレードアップする」リノベーションの違いが分かると思います。

壁の黒ずみによる壁紙の貼替

たとえば、冷蔵庫等の裏側の壁面は、どうしても黒ずみができてしまいがちです。賃借人の入替をする時には、その壁紙を貼替る必要があります。その時に、この壁紙を従来と同じ壁紙に貼替をすることを原状回復といいます。

一方、今後汚れが目立たないように、壁紙の色を変えて貼替たり、汚れにくい特殊な壁紙に貼替たりすることを「リノベーション」といいます。違いは、「元の状態」に戻すか「元よりグレードアップ」させるかの違いです。

床の家具跡

カーペットを敷いていたとしても、どうしても床には家具の後が付いたり、へこみができたりします。そのフローリングのへこみや傷を元通りに直すことが原状回復です。一方で、その室内のデザイン性の向上のために、オシャレな無垢板に変えることをリノベーションといいます。通常の合板ではなく無垢板や天然板をつかうことによって、本物の木の質感を出し部屋全体のデザイン性を高めるのです。

画鋲やピンなどの穴

カレンダーや時計を壁に掛けていたことによって穴ができた場合には、壁紙の貼替と場合によってボードの貼替が必要になります。その時に、従来の壁紙や下地ボードと同じ素材に入替ることを原状回復といいます。一方で、下地を入れた後にピクチャーレールを取付るなど、使い勝手を良くすることが「リノベーション」です。ピクチャーレールを取付ることで、壁に穴を開けずに時計を掛けたり絵を掛けたりすることができます。

しつこい汚れ

たとえばレンジフードやガスコンロの油汚れなどです。通常はハウスクリーニングで元に戻る場合が多いですが、あまりに汚れが酷いと設備を入替る必要があります。その設備の入替を、従来付けていた設備に入替ることを原状回復といいます。一方で、最新の高機能ガスコンロに入替たり、ニーズを加味してIHコンロに入替たりすることをリノベーションと言います。

フローリングのワックス

フローリングのワックスは経年劣化により剥がれてきます。通常のワックスであれば2年程経つと剥がれムラが目立ちます。そのような状態の時、従来のワックスを塗りなおすのが原状回復です。一方、ワックスよりも強力なフロアコーティング加工をすることをリノベーションといいます。フロアコーティングをすると光沢がでますし、ワックスよりも厚みがあるので傷が付きにくいのです。

リノベーションを選択する時

前項のように、原状回復とリノベーションの工事内容は大きく異なります。当然、材料費や設備費が高くなるので、リノベーション工事の方が費用はかかるケースが多いです。そんなリノベーション工事をする時は、以下のような時です。

空室率を改善したい時

まずは、お金をかけてでもリノベーションした方が良い時は、空室率が高い物件です。空室率が高いということは、空室になっている期間中は賃料収入が得られないということです。そして、元々空室率が高いのであれば、原状回復をして入居者を募っても成約までに時間がかかることが多いです。

また、「室内環境」が空室になる原因であるのにリノベーションで改善しないとなると、「成約までに時間がかかる」という現象は繰り返し起こります。つまり、原状回復をしてもその原因は解消せずに、入居者が退去する度、空室状態に悩まされるということです。

仮にその物件の賃料が月々12万円だと仮定します。その原状回復工事費用が15万円だとして、リノベーションすると50万円の費用がかかるとします。その差は35万円ですが、賃料で割ると約3か月分です。つまり、リノベーションしたことで、リノベーションしなかった時よりも3か月空室期間が短くなれば元が取れるということです。

そう考えると、空室が続いている部屋であれば、リノベーションすることにリスクとデメリットは少ない場合が多いです。このように、原状回復工事費とリノベーション工事費を比較して、「何か月空室が改善すれば元が取れるか」という視点で考えるとリノベーションをするべきか分かりやすいです。

トレンドに遅れている時

空室率の上昇にも繋がっている場合が多いですが、築年数が経ってくるとどうしてもトレンドに遅れてしまいます。たとえば、今のマンションでいうと以下の状態であれば「トレンドに遅れている」と言えます。

  1. 浴室乾燥機能が付いていない
  2. 浴室追い炊き機能が付いていない
  3. 警備システムが付いていない
  4. 玄関・サッシ等の二重ロックができない
  5. 浄水機能が付いていない
  6. シャワートイレが付いていない
  7. モニターホンが付いていない

今でも上記の設備が付いていない物件はたくさんあります。そのため、全ての機能を備えている必要はありません。もしかしたら上記7つの機能がなくても「賃料の安さ」や「立地の良さ」で空室率は低いことも十分考えられます。

しかし、周辺の賃貸物件が上記のような設備を入れていたり、エリア柄良い設備でないと賃貸がしにくかったりする場合があります。そのような時には、原状回復ではなく設備の入替やグレードアップである「リノべーション」をした方が良いです。