家賃アップを実現できる業者の条件
賃貸マンションなどでリノベーションをする一番の目的は「空室率の改善」です。つまり、部屋をリノベーションすることで資産価値を上げ、入居者を途切れなくするためにリノベーションをします。しかし、理想は空室率の改善だけでなく、家賃アップができるくらいのリノベーションをすることです。
リノベーションをして資産価値を極限まで上げることができれば、周辺の賃貸マンションより家賃を高く設定できます。家賃を高く設定できれば賃料収入が上がるので、リノべーションにかかる費用も回収することができます。
ただし、リノベーションをしたからといって、必ず家賃アップできるほど資産価値が上がるとは限りません。そこで今回は、「家賃アップを実現できるような優秀な業者とはどんな業者か?」をテーマにお話します。
知識が豊富である事業者
まず、なによりもそのリノベーション業者自身が、リノベーションに関しての知識が豊富でないといけません。特に、リノベーションは室内全体に関わってくる工事です。そのため、「水まわりのリノベーションは分かるけど、その他はあまり経験がない」などでは困ってしまいます。
なぜなら、リノベーションをする時には、リノベーション業者にニーズを伝えて提案してもらうことが大切だからです。仮に、室内全体のリノベーション知識が豊富であれば、トータルでリノベーションの提案をすることができます。しかし、リノベーション工事の知識がある特定の箇所だけに偏っていれば、その箇所を中心としたリノベーション工事の提案しかできないのです。
そのようなリノベーション業者が工事を担当すると、「リノベーション業者の得意なリノベーション」となります。つまり、本来の目的である、「本当に賃借人が求めているリノベーション」にならないということです。今回は、2つの例を挙げて知識が豊富なリノベーション業者と、知識の乏しいリノベーション業者の比較をします。
もっと「子供連れ」にファミリータイプを訴求したい
たとえば、子供連れのターゲットが多いため、今よりもファミリータイプに人気がでるようにリノベーションしたいと思っているとします。そのような時には、以下のような選択肢があります。
- 安全性を高めるために「スマートロック」を導入する
- 玄関ドアを二重ロックに変更し、子供の目線に合わせた低い位置の「ドアスコープ(のぞき穴)」もつくる
- 子供でも安全なIHキッキングヒーターを導入する
- 子供の勉強を見守れるように、リビング隣に勉強スペースを設ける
- 手すりの見直し
- 段差の滑り止め
「子供連れのファミリーに訴求したい」という目的だけでも、このような選択肢があります。さらに、上記6点以外にも、いくらでもリノベーション工事の方法はあるのです。しかし、リノベーション工事の知識が乏しかったり、偏っていたりすると提案の量が少なくなります。そのため、本当にベストなリノベーションができなくなってしまうのです。
水まわりの位置を変えて動線を変更したい
たとえば、キッチン、トイレ、浴室の水まわり関係の動線が、現在は使いにくいとします。そこで、オーナー側の要望としては「水まわりの位置を変更する」ということが第一条件だったとします。しかし、水まわりは排水管が縦の住戸(1階から最上階まで)で繋がっているので、容易に水まわりを動かすことはできないのです。
つまり、排水管の箇所はある程度決まっているので、無理に水まわりを動かすと排水管から遠くなってしまい支障が出るということです。そのため、勾配を付けたり排水管に繋がる配管を新たに設置する必要が出てきます。そうなると、室内の設計によってはそもそもリノベーションできない可能性があります。
仮に、そのような知識がないリノベーション業者がリノベーション工事を担当したらどうでしょうか。さすがに、部屋の構造的に不可能であれば工事はしないと思いますが、「無理があるけど可能」くらいであれば実施するかもしれません。しかし、その無理な工事により水流が悪くなったり、配管が詰まりやすくなったりするというデメリットもあるのです。
トレンドを理解している業者である
そもそも、家賃アップができる物件とは、競合物件と比較をして優位性のある物件です。つまり、リノベーションをする範囲や内容は、競合となり得る物件を知っていなければいけません。そのため、競合物件を含めて、最近のトレンドを知っている業者である必要があります。
水まわりのグレード
物件によって最も異なる仕様・設備は水まわり関係です。この水まわりをグレードアップするかは、費用もかかるので競合物件の状況を注視するべきです。たとえば、食器洗い機が通常で付いていたり、ミストサウナが通常で付いていたりなどです。特に水まわりに関してはエリア特性がでます。
エリア的に標準で付いている設備は、そのエリアに居住しようとしているターゲットが求めている設備ということです。そのため、標準で付けておかないと、入居検討者の印象が悪くなってしまいます。
カスタマイズ
最近では壁紙を自分で選べたり、棚をつくったりできるカスタマイズが流行っています。どこまで行うかはオーナー次第ですが、この程度のカスタマイズであれば比較的安価で行うこともできます。そのため、周辺物件が行っていて、評判が良いカスタマイズはリノベーション業者にヒアリングすると良いです。
人気のあるカスタマイズを安価で行うことができれば、取り入れる価値があります。たとえば、玄関まわりの壁に帽子掛けを設置するカスタマイズがあったとします。帽子程度の重量であれば、下地材が入っていれば設置できるので安価に行えます。
しかも、そのようなカスタマイズは広告での評判が良いのです。写真映えもしますし、ちょっとした工夫が賃借人の印象を良くします。このように、ちょっとしたトレンドを知っている業者であると、リノベーションするだけでなく広告に載せることで集客効果も上げられるのです。